音楽ナタリーさんのサイトで、辻本良三さんとPerfumeのっちさんとのモンハンにまつわる対談記事が掲載されました!
対談では、モンハンライズは『令和のモンハン』といったワードやスマホ向けの『モンハンエクスプロアの課金』に関するコメントの他、ラギアクルス(水中戦)やストーリーズ2であった「亜空間タックル」についてのコメントもありました。
今回はこちらのインタビュー内容を引用しつつ紹介したいと思います(⑅•ᴗ•⑅)♪
辻本良三さんとPerfumeのっちさんのサンブレイク対談
- 良三さんと対談
- みんなの質問と回答
辻本良三さんとPerfumeのっちさんのサンブレイク対談私は「ライズ」のことを「令和のモンハン」って言ってるんです

のっちさん
まだ体験版しかプレイできてないんですけど(※取材は「モンスターハンターライズ:サンブレイク」発売前の2022年6月に実施)、「サンブレイク」面白かったです! メル・ゼナがカッコよかった!良三さん
ありがとうございます。のっちさんはいつからモンハンをやっているんですか?
のっちさん
初めて知ったのはテレビCMだったと思います。いろんな芸能人が出てきて「前作のプレイ時間:何百時間」って表示されるやつ。「この忙しそうな人たちがそんなにハマるゲームがあるのか」と思いました。それからゲーム好きな友達が「一緒にやろうよ」って誘ってくれて「ダブルクロス」を初めて買ったんですけど、私、人と一緒にやるゲームがあまり得意じゃなくて……(笑)。1回だけカラオケに集まってみんなでやったんですけど、あとはずっと1人でプレイしてましたね。ほかに「ワールド」もちょっとやったんですが、一番やりこんだのはスマホアプリの「エクスプロア」(※2020年11月にサービス終了)です。良三さん
なんと! ありがとうございます! 「エクスプロア」のスタッフが喜びます(笑)。
のっちさん
それまでモンハンに触れたことがない初心者にとって、モンスターの動きが覚えられなくて「当てようと剣を振ったところにもうモンスターがいない」というのはストレスだったんですけど、アプリはボタンを押したら全部の攻撃が当たるんですよ。あとは、課金すればするほどいい素材が多くもらえるというシステムが本当に気持ちよくて(笑)、かなりハマってハチャメチャに課金してました。良三さん
サービス再開せなあかんな(笑)。
のっちさん
「ライズ」を作ることになったとき、まずどんなゲームにすることを目指したんですか?良三さん
ひさびさに携帯機で遊べるモンハンなので、手軽に遊んでもらえるような設計をテーマにしました。「寝る前に、ベッドに入って15分で1クエストだけやろう」みたいな気軽さやスポーティな部分を重視して。
のっちさん
「いろんな面で遊びやすくなったな」と思ったんですよ。個人的に苦手だった機能が全部なくなって、ガルクのおかげでフィールド移動も速くなって。あとこれは「ワールド」からですけど、ペイントボールもなくなりましたよね。あれも苦手で、いつも当たらない当たらないって言ってるうちにやられちゃってました。モンスターが最初からフィールドマップに表示されるのも「ライズ」からですよね? 「ワールド」にもモンスターの痕跡の匂いを覚えるというのがありましたけど。良三さん
最初からモンスターの位置がこれだけはっきり見えるのは「ライズ」からです。あれはクエスト開始時にハンターが飛ばす、フクズクという鳥が教えてくれてるんですよ。
のっちさん
確かに最初に飛ばしていますね! あの子が全部見てくれてるんだ。私は「ライズ」を人にオススメするときに「令和のモンハン」って言ってるんです。「今はもう“令和のモンハン”になってるから! やってみて!」って。良三さん
令和のモンハン(笑)。そうですね。プレイヤーが肉を焼くこともあんまりなくなってきましたし。のっちさん
あ、確かに。なくなりましたね。良三さん
そこらへんも「モンスターハンター」というものを全体的に見直した結果ですね。のっちさん
それって毎回やってるんですか?良三さん
毎回やります。開発期間が長いタイトルは見直す期間もあるので、「ライズ」ではひさしぶりの携帯機で遊べるモンハンですし、特にやりましたね。作ってる途中でゲーム自体の仕様をガラッと変えちゃうときもあるので。のっちさん
ドンガラガッシャンと。それってめちゃくちゃ大変な話ですよね?良三さん
大変ですね。そのときはみんなに「1回休んでゆっくりしてから考えようか」と声をかけます(笑)。のっちさん
でも、あんまり変えすぎても“モンハンらしさ”がなくなってしまいそうだし、そこの葛藤はありそうですよね。良三さん
「残さないといけない遊び」はなんとなく自分たちの中にあって、それ以外の要素から「今の人たちにとって本当に必要なのか」を見直してるんです。プレイヤーの方に「これモンスターハンターじゃないよね」と思われるのは絶対ダメなので、それだけは気にしてます。のっちさん
私が驚いたのは、モンスターが弱ってきて捕獲できるようになったら「今なら捕まえられますよ」と表示されるようになったことで。それまではプレイヤー同士で「もういけるかな?」って会話しながら、結局捕獲できなかった、みたいなところにもモンハンっぽさを感じてたから、あれってすごく大きい変更だなと思って。基本的に1人で遊んでる私にとって、あの機能は助かるんですよ(笑)。良三さん
そうですね。今回はそこよりも、立体的なアクションをもっと楽しんでもらうのがテーマなので。ペイントボールをなくしてモンスターがどこにいるか最初からわかるようにしたのも同じで、モンスターを探すことに集中してもらうより、そこまでのルートをどう進むのかに集中してほしかったんです。一直線に向かってもいいですし、環境生物を取得しながら向かってもらってもいいですし。のっちさん
確かに、寄り道すればするほど強くなるし。移動するだけで楽しいです。良三さん
そこにストレスをかけたくなかったというのもあって、翔蟲を使っての移動やアクションを導入したんです。のっちさん
ビューンって上に飛んでいったり、動きが気持ちよくて。まあ、うまく使えたらですけど(笑)。遊びやすすぎて、翔蟲のないモンハンはもうできないんじゃないかってくらいです。
辻本良三さんとPerfumeのっちさんのサンブレイク対談私の課金もその一部になってるんですね……
のっちさん
今回の「サンブレイク」もそうですけど、モンハンって「モンスターハンター4」のあとに「4G」、「クロス」のあとに「ダブルクロス」、「ワールド」のあとに「ワールド:アイスボーン」みたいに、あとで新しくアップグレード版を出すじゃないですか。それってどの段階で決まってるんですか?良三さん
その時々によって違いますが、「ライズ」の場合、決まったのは開発が後半になってからですね。だから「ライズ」を作りつつアップデートの作業に入ってました。最初から決めているということはないです。のっちさん
それってどうしてですか?良三さん
アップデート版は、元となる“無印”のゲームをより深く遊んでもらうことがテーマの1つです。そのため評判だったり、どこを深掘りするといいのかなど、ある程度プレイヤーの意見も聞きながら作らなければいけないからです。とはいえカプコンはモンハンしか作っていないわけじゃないから、ほかのゲームの制作にも人を入れないといけないので、アップデートの実施もそんなに急には決められなくて。のっちさん
あらかじめ人員を確保しないといけないから、ある程度は先に決めておくってことですね。良三さん
そうなんです。「サンブレイク」も社内だけで多いときは250人くらい関わっていたので。のっちさん
ええっ! それ以外に外部の人もいるってことですよね? 社内だけで250人のプロジェクトってすごい!良三さん
だからエンディングのスタッフロールが長いんですよ。僕の名前がいくら待っても全然出てこなくて(笑)。のっちさん
ははは(笑)。それって、何をしてる人が多いからなんですか?良三さん
サウンドはBGMとSEで違うし、キャラクターもデザインする人、モデルを作る人、動かす人がそれぞれ別だし、プログラムもプレイヤー担当、モンスター担当、ステージ担当とそれぞれ分かれてるので、たくさんの人数になってしまうんですよ。のっちさん
それらを会社内でやってるんですね。ほかのタイトルを作っている人も合わせると、どれくらいの人数になるんですか?良三さん
この東京の開発は300人くらいで、大阪は開発だけで2000人くらいいるのかな? 本社ビルのほかに研究開発ビルが2棟あって、そこが全部埋まってるくらいですね。のっちさん
ええっ! すごい……私の「エクスプロア」の課金もそのビルの一部になってるんですね……。良三さん
ありがとうございます! みんなの給料になっております(笑)。
辻本良三さんとPerfumeのっちさんのサンブレイク対談部位破壊はあんまり痛そうじゃないところですることが多いんです
のっちさん
「ライズ」は和風の世界観でしたけど、「サンブレイク」で洋風に変えたのはどうしてなんですか?良三さん
拡張コンテンツとはいっても、やっぱり新作が発売されたくらいの感覚で遊んでほしいので。あと、プレイしていて「これは『サンブレイク』だな」とわかりやすい雰囲気にしたかったんです。和のテーマを引き継ぐと、どっちなのかわからなくなるかもと思って、ガラッと変えちゃおうと。ただ残すべきところは引き継ぎたいので、日本の妖怪をモチーフにモンスターを作っていた「ライズ」に対して、「サンブレイク」では中心となる3体のモンスターを西洋の怪物をモチーフにしました。吸血鬼とか狼男とか。のっちさん
ああ、なるほど! 言われてみると「ライズ」のモンスターは妖怪モチーフですね! アケノシルムは唐傘おばけ?良三さん
そうですね。あと、ヨツミワドウは河童、とか。のっちさん
「ライズ」は和風というテーマがあるのでモチーフを考えやすかったのかなと思うんですけど、ほかのタイトルでは何をイメージしてモンスターを作ってるんですか?良三さん
いろいろとあるんですが、「作品のテーマ」「ゲームのどの段階に出てくるのか」「どのステージに出てくるのか」「どんな生態を持ってるのか」とかですかね。のっちさん
あー、ステージかー!良三さん
モンスターは架空の生物なんで、考えるのにものすごく時間がかかるんですよ。だからモンスターを作っているメンバーは、いろんな生物のデザインや動きなどについてすごく研究しています。あとゲームなので、もちろん強いモンスターだけではなく、そんなに強くないモンスターとかも考えないといけないので。のっちさん
そのへんにいる、攻撃してこないちっちゃいやつとか?良三さん
そういうのもだし、序盤で最初に出会うモンスターもそうだし。ある意味、全モンスターが強そうでカッコいいのはダメなんです。「これはどのレベルで出てくるモンスターなのか」というのを考えるのは、けっこう気を遣う作業なんですよね。のっちさん
そのバランスは確かに難しそうですね。めっちゃくちゃかわいいモンスターを考えちゃって「かわいそうだから斬れないよ……」みたいなこともありそう(笑)。良三さん
一応、そこらへんは制作サイドも気にしていて、部位破壊はあんまり痛そうじゃないところですることが多いんです。爪とか角とか。のっちさん
あっ! 確かにそうだ! 尻尾の先を切り落とされても、そんなにグロさはないかも。良三さん
意外とそこらへんのことも考えてるんです。
辻本良三さんとPerfumeのっちさんのサンブレイク対談今めちゃくちゃ誘ってるんですよ
良三さん
のっちさんは基本的に1人で遊んでいるとのことですが、「サンブレイク」ではNPC(ノンプレイヤーキャラクター)をパートナーにできる「盟勇クエスト」というシングルプレイ専用クエストがあるんですよ。のっちさん
えっ! 村の人とかと一緒にクエストに行けるんですか? 例えば誰ですか? お団子屋さんも連れていけるんですか!?良三さん
お団子屋さんは連れていけないですが、けっこういろんなキャラクターと遊べますよ。しかも連れて行くキャラが、クエスト中にけっこうしゃべるんですよ。同行するキャラクターが決まっている「盟勇同行クエスト」と、パートナーを自由に2人チョイスできる「重要調査クエスト」の2種類あるんですけど、連れていく2人の組み合わせによっては、掛け合いがあったりもして。のっちさん
うわっ、それ楽しい! しょっちゅう村の人たちと世間話をしてる私向けですね(笑)。良三さん
1人でプレイしている人も、にぎやかに遊んでもらえると思います。のっちさん
「モンハンは人とやるもんだ」っていう認識があったから、1人でやるのってどうなんだろうと思ってたけど、1人でもずっと楽しかったですね。良三さん
そういう人にもちゃんと楽しんでもらいたいという思いがあったんです。昔は人数にかかわらず難易度固定だったので、1人でプレイするとすごく難しかったんですが、今は集会所も参加人数に応じて難易度が変わるようにしてありますし。まあ、それでもマルチでやったほうがクリアしやすいとは思いますけど。ちなみにPerfumeのメンバー同士で一緒にやったりしないんですか?のっちさん
ゆかちゃん(かしゆか)はモンハンが好きで、昔「モンハンラジオ」(モンスターハンターシリーズの公式Webラジオ)にもお邪魔したことがあるんですけど。良三さん
そうですよね。のっちさん
でも2人のハマってやってる時期が違うから、一緒にやったことは1回もなくて。だから今めちゃくちゃ誘ってるんですよ。「令和のモンハンだよ!」って(笑)。ゆかちゃんが使うのは太刀だったかな? なんか「尻尾を切る係なんだからちゃんと尻尾に当てて」って怒られるんだって言ってましたね(笑)。良三さん
のっちさんはどの武器を使うんですか?のっちさん
私は基本的に双剣しか使ってないんです。「双剣が強い」って書いてあるのを何かで見たのかな? あとは実況してた人が双剣を使ってたとか、そんなきっかけだと思います。良三さん
女性は特に双剣を使ってる方が多いんですよ。手数も多いので気持ちいいですよね。のっちさん
あと、大きい武器だとモンスターの前で「よいしょ」って溜めてから攻撃するじゃないですか。モンスターの動きを見極めるのがまだ苦手だからうまく当たらないし、双剣でチョチョチョンってやってるほうが向いてるかなって(笑)。
辻本良三さんとPerfumeのっちさんのサンブレイク対談みんなの質問、のっちが代わりに聞いてきますのコーナー!

のっちさん
それでは読者の皆さんから届いた辻本さんへの質問を読んでいきますね。ライズから始めたハンター初心者です。狩りだけでなく、様々なモンスターの装備から重ね着もできてお洒落も楽しんでいます。プロデューサーから見てPerfumeに似合いそうな装備があれば教えてください!(個人的にはヤツカダキ、神凪姿が見てみたいです笑)
良三さん
僕も神凪を見てみたいですね(笑)。のっちさん
私が好きなのもそれなんですけど(笑)。良三さん
一番似合うと思います(笑)。のっちさん
巫女みたいでかわいいですよね。あの衣装を着てるヒノエ&ミノト姉妹、初めて見たとき「……ゆかちゃん!」って思って(笑)。私は妹のミノト派ですね。ちょっとつんけんしてそうだけど「お姉さま大好き」みたいなところがかわいい。良三さん
さっき話した「盟勇クエスト」ではこの2人とも一緒にクエストに行けるんですよ。ところで、のっちさんは装備のこだわりってあるんですか?のっちさん
こだわりはなくて。水属性とか火属性とか、そういうのをモンスターに合わせてその都度変えています。だからガッチャガチャですね。あと、基本的には上半身脱いでいます(笑)。下に着ているインナーがかわいいから。下半身はヒノエ&ミノトみたいな袴を履いてます。良三さん
見た目重視ですか?のっちさん
ですね。中身はキメラ装備なんだけど、外見はかわいくしてます(笑)。良三さん
キャラクリは自分に似せるほうですか?のっちさん
いや、似せてないです。褐色白髪に緑の口紅です。良三さん
全然違いますね(笑)。のっちさん
でもすごいかわいいの!(笑) 白髪が好きみたいで、ほかのゲームでもキャラメイクするときは銀髪とか白髪にしがちですね。そこに緑のリップとか、自分では絶対にやらないことをします。ゲームをやってる間ずっと見ることになるから、やっぱりテンション上がる見た目がいいなと思って、すごく時間かけて自分好みに仕上げますね。海外のプレイヤーも多いモンスターハンターシリーズですが国内と海外のプレイヤーではゲームをプレイした反応や感想は大きく違うものなのでしょうか? 開発チームに聞こえてきた国内外のプレイヤーからの面白エピソードなどがありましたら教えてください
のっちさん
モンハンは海外でもめちゃくちゃ人気ですよね。良三さん
「ワールド」あたりから海外ユーザーの方が増えてます。でも基本的に、ゲームを作るうえで「日本向け」「海外向け」というのは意識したことがなくて。面白いことも怖いことも、本能的な感じ方はどの国の人も変わらないと思っているから、あんまりゲーム内で海外を意識したことはないですね。ただ、まとめ動画で海外の人の反応を見たりすると、皆さん反応がすごく大きいですよね(笑)。「うわー、そんなに喜んでくれるかー」ってうれしくなります。のっちさん
本能っていうのは、例えばモンスターを倒した瞬間が気持ちいいとか、装備を整えるのが楽しいとか?良三さん
そうですね。だからプレイヤーが望んでいることも、国内と海外で違いはないんじゃないかなと。「ワールド」の発売前に海外の人にテストプレイをしてもらったら、「攻撃が当たってる感覚がなくて、何が正解か不正解かわからない」ってけっこう言われたんですよ。その話を聞いたときに「これは外国人特有の意見というわけじゃなくて、もしかして初心者はみんなそう感じてるんじゃないか?」と思って、開発内で見直そうと判断したんです。のっちさん
それでダメージの数値が表示されるようになったんですね。柔らかい部位に当たると数字の色が変わるのも、その頃に実装したんですか?良三さん
そうです。より正解に近いのは何かをわかりやすくしましょうということで。それまでは「攻撃が効いているかはモンスターの動きを見てください。弱った動きをしてたら弱ってきてるでしょう」という方針だったけど、数値の表示はオプションで設定もできるようにしてプレイヤーの方に好きな形で遊んでいただこうと。初代モンハン(PS1)はパッケージ裏にモンスターの事をワイバーン と表記してたのに なぜモンハンGからはモンスター 表記になったのですか?
のっちさん
これ昔の話みたいで、私はよくわからないんですが、どういうことですか?良三さん
最初、僕たちは竜型のモンスターを「ワイバーン」と呼んでいたんですけど、途中から「モンスター」に変えたんです。「それぞれに名前が付いてるんだから名前で呼びましょう。『モンスターハンター』なんだから『モンスター』を使いましょう」ってことになって(笑)。のっちさん
だそうです! ずっと気になってたんでしょうね(笑)。良三さん
「モンスターハンター」ってド直球なネーミングじゃないですか。みんな「絶対に商標を取れないだろ」って思ってたんですけど、提出してみたら意外と通っちゃって、「えっ、商標取れんの?」って(笑)。のっちさん
言われてみたら確かに直球な名前だ。通ってよかったですね(笑)。モンハンでは、モンスター毎にかっこいい専用の曲が流れ、我々ハンターはのりのりで戦闘していますが、モンスターに音楽を付ける時に、どんな感じのこだりをもって制作しているのかを教えてほしいです。
のっちさん
「ライズ」は音楽も和風だから、モンスターに付いている音楽も、これまでと同じモンスターでもちょっと和っぽくアレンジされてますよね。良三さん
そうですね。だいたいの場合、そのモンスターのイメージを曲として表現しているんですけど、たまにモンスターが完成していないのに曲を作らないといけないこともあるんです。そういうときは、すごくざっくりしたイメージだけで曲を作って。のっちさん
「強そう」とか?(笑)良三さん
そうそう、「熱そう」とか「ごつい」とか(笑)。のっちさん
私たちも「まだ曲ができてないのにスケジュール的にもうジャケットを撮らないといけない」みたいなことはたまにあります。「わかんないけど、たぶんこんな感じ」みたいな(笑)。辻本さん、のっちさんの、お気に入りの作品やモンスターを教えて下さい! 私は一番やった2ndGがやっぱりお気に入りですが、モンスターはトライのラギアクルスが結構好きです♪ 水中戦は賛否ありましたが、戦闘の斬新さとラギアクルスの格好いいデザインが思い出深いです。
のっちさん
水中戦って、水の中で狩猟するわけじゃないですよね?良三さん
水の中です。あったんですよ、昔。「3(トライ)」っていうタイトルで。のっちさん
そうなんだ。ラギアクルスとかを狩猟するんですか?良三さん
そうですね。陸上でも狩れるんですけど、水中は360°どの方向にも進めるんです。のっちさん
「賛否ありましたが」って言われてますが……(笑)。良三さん
賛否も存じております(笑)。水中だと影も出ないから、距離感がわからなくて難しいんですよ。でもあそこで立体的なアクションのチャレンジができて、その後のモンハンの立体的なアクションにつながってるんですよ。のっちさんのお気に入りのタイトルとモンスターはなんですか?のっちさん
難しいな……でも一番は「ライズ」ですね。モンスターは、「ライズ」じゃないけどフクロウ型のホロロホルルがお気に入りでした。良三さん
「クロス」と「ダブルクロス」に出てきたモンスターですね。のっちさん
「ライズ」に出てくるのだと、マガイマガドもカッコいいし、ビシュテンゴもかわいくて好き。フルーツを投げるサルみたいなモンスター。良三さん
かわいい系が好きなんですか? ウルクススはどうですか?のっちさん
好きです! 動きがわかるので、狩りやすいという意味でも好き。辻本さんのお気に入りは?良三さん
作品はさすがに「全部」になるんですけど(笑)、国内のプレイヤー人口が一気に増えた「2nd G」と、プレイヤー層がグローバルに広がった「ワールド」は転機になったと思います。「2nd G」は開発期間が一番短かったんですよ。確か1年もないんじゃないかな。のっちさん
「2nd G」の“セカG”って愛称はよく聞きますけど、それって「ライズ」のあとの「サンブレイク」みたいに、「2nd」のあとに出たタイトルなんですか?良三さん
そうです。PSP用のソフトなんですけど、当時学生さんたちがみんなでPSPを持ち寄ってプレイすることが多かったみたいで。すごくたくさんの人にプレイしていただきました。のっちさん
お気に入りのモンスターは?良三さん
ラオシャンロン。初代モンハンから出てるんですけど、ものすごくバカでかい龍で、当時「超巨大モンスター」としてインパクトが強かったので。のっちさん
今調べたら「全長6960cm」って書いてある(笑)。「ガノトトスの亜空間タックル」や「ハチミツください」など、公式になったネタワードがいつくかありますが、制作陣の方々もそのように呼んでいますか?
良三さん
あんまり呼んではいないですね(笑)。のっちさん
「ハチミツください」はなんとなく知ってます。オンラインで他人にハチミツをねだるプレイヤーがいたんですよね?(笑) 「ガノトトスの亜空間タックル」ってなんですか?良三さん
初期からいるガノトトスというモンスターにタックルという技があって、すごく避けにくいことから、ユーザーが「亜空間タックル」と呼ぶようになったんです。それでその後、モンハンの世界観をベースにしたRPG「モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~」に「亜空間タックル」という技を実装したんですよ。のっちさん
あっ、ネタワードが公式になったんだ(笑)。良三さん
「ハチミツください」もTwitterのキャンペーンで採用しました。ほかにも、ラージャンというモンスターが親指を立てて「イージャン」と言っているコラ画像が流行ったときに、公式で「イージャン」をLINEスタンプにさせていただいたり。www.capcom.co.jp2 Users102 Pockets CAPCOM:モンスターハンターワールド:アイスボーン 公式サイトhttps://www.capcom.co.jp/monsterhunter/world-iceborne/topics/e-jang/『モンスターハンター:ワールド』のエンディング後から始まる、さらなるストーリーのっちさん
自分たちは呼んでないのに、ネタに寛容ですね、製作陣(笑)。良三さん
「モンスターハンター」って名前を付けたときも、初期は僕たちの中では略称は「MH」だったんです。でも皆さんがモンハンって呼ぶようになったので僕らもモンハンに変えたんですよ。だから社歴が古い人の中にはまだ「MH」って呼んでるのもいますね。のっちさん
Perfumeの曲名も、ファンの人たちが略して呼んでくれたりするんですけど、「そうやって略すんだね」ってことがよくあって(笑)。良三さん
そういうのはファンの方が考えてくれたりしますよね。でもゲームのタイトルとかは、最初から略語も一緒に考えるんですよ。「こうやって呼ばれるかな?」「こう略したら言いやすいかな?」とか考えながら名付けるんです。のっちさん
呼びやすさって大事ですよね。まさに昨日もそんなことを考えてたんです。略称とかで3、4文字で呼ばれてるグループは長く残ってることが多いなとか。ミノトさんが描く独特な絵が好きです!ミノトさんのこの絵はどのような経緯で誕生したのでしょうか? ヒノエ姉さまだけやたら力を入れて描いていたり、集会所では筆を走らせたものの納得いかず絵をくしゃくしゃにする仕草なども見られて可愛らしいです
のっちさん
ミノトさんが描く絵、会社のエントランスに飾ってあったぬいぐるみもそうですよね? かわいい。良三さん
この件について一番こだわってるのはディレクターの一瀬(泰範)なんですけど、たぶんこの質問採用されそうだなと思って、あらかじめ一瀬に返答をもらってきたんですよ(笑)。答えたいかもなって……(と言って、足元に置いてあった、大量の文字が書かれた数枚の紙を読み始める)。のっちさん
わっ、すごい。一瀬さんありがとうございます(笑)。良三さん
……めっちゃ書いてるで。しかも「真面目パターン」「赤裸々パターン」と回答パターンが2種類用意されてる。けど、よく読んだらどっちも言えないことしか書いてないわ(笑)。まあ回答としては、「彼女はそもそも生まれ持った絵の才能があった」ということですかね。この紙は闇に葬っておきます(笑)。モンスターハンターシリーズは歴史ある人気シリーズですが 変えていった所、ここは変えずに継承していった所などあれば教えて下さい
良三さん
さっきも言ったように「使いやすさ」と「遊びやすさ」はその時々で変えています。一貫してこだわっているのは「アクションをどう進化させるか」という点ですね。でも進化は段階的にしないといけなくて、急すぎるのはけっこう危険なことなんですよ。だから「3(トライ)」の水中戦で立体的なアクションを実験的に取り入れて、そこでどうすれば面白くなるか検証したから、「4」で高低差を生かしたアクションを地上に持ってこれた。そうやってアクションを少しずつ進化させながらも「今回こんな新しい要素があるけど、やっぱりモンハンだな」って違和感なく遊んでもらうのが、一番こだわってるところですね。のっちさん
私はモンスターとの掛け合いというか、コミュニケーション、駆け引きがうまくいくと「モンハンをやってるな」という感覚があるんですよね。「今の攻撃、見切った!」みたいな(笑)。今日はお忙しい中、どうもありがとうございました。長く続いているタイトルだから、どこを変化させてどこを変化させないのかという見極めの話は参考になったし、海外のプレイヤーに対する考え方もすごく勉強になりました。ボイス収録とかも、いろいろ準備していただいてありがたかったです。良三さん
本当はもっといろいろ体験していただきたかったんですけどね。いつか大阪に来てモーションキャプチャーも体験してください。のっちさん
それ山田裕貴さんが体験してたやつですよね? 行きたいです!良三さん
ぜひ。Perfumeの動きの通りにモンスターが踊りますので(笑)。
今回は、良三さんとPerfumeのっちさんのサンブレイク対談部分を抜粋して引用紹介致しました。
ボイス収録の模様や記事全編については「音楽ナタリー」様のサイトの方をご参照ください( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )
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