モンハンライズ・サンブレイクは「Switch版」発売以降「Steam版」「PS4/PS5版」「Xbox:X|S版」「Win11版」など様々なプラットフォームで展開されましたが、いずれも「クロスプレイ非対応」でした。
新規プラットフォーム版リリース後も既存ユーザーからは『PS5版のグラフィックで遊びたいけど、もう一度マカ錬金や防具の傀異錬成厳選、傀異討究Lv上げするのは…辛い』といった声も多かったです。
カプコンさんの他の人気タイトルを見ると、バイオの人気キャラのオンラインマッチバトルゲーム「バイオハザードRE:バース」では「CAPCOM ID」というSSO(シングルサインオン)のログイン認証を用いて実現されています。
また、ファミ通さんのVIPインタビュー内のカプコン社長:辻本春弘さんへのインタビューでは、下記にあるように「今後のタイトル(新作モンハン)ではクロスプレイに対応させるつもり」とも仰っていました。
――『スト6』以外にも、2023年以降には『エグゾプライマル』や『プラグマタ』といった新規IPが控えています。これらの開発の経緯をお聞かせください。
辻本社長:『スト6』と『エグゾプライマル』は、どちらも長く楽しんでいただくタイトルになります。『モンスターハンター』も同じカテゴリーに含まれますが、これらと『モンハン』の違いは“クロスプレイの可否”で、開発中の2タイトルでは、プラットフォームの垣根を越えた対戦・協力プレイを楽しむことができます。今後のタイトルではクロスプレイに対応させるつもりなので、『エグゾプライマル』の開発には、そのためのノウハウの蓄積という目的もあります。クロスプレイ時のサーバーの負荷やユーザー様とのコミュニケーションも含めて、さまざまなチャレンジを試すつもりです。
情報引用元: 「ファミ通」様
そして、先日期間限定で配信された「ストリートファイター6(オープンβ)」のオンライン空間のバトルハブコンテンツでは、CAPCOM IDと合わせて、Microsoftさんのゲーム特化型のBaaS「Azure PlayFab」も採用されていました。
今回は、新作モンハンのクロスプレイ実現でキーとなりそうな「Azure PlayFab」を中心に紹介したいと思います(୨୧ ❛ᴗ❛)✧
新作モンハンクロスプレイ実現とAzure PlayFab
新作モンハンクロスプレイ実現とAzure PlayFab「Azure PlayFab」とは

Azure PlayFab は、ゲーム制作に特化した「BaaS(Backend as a Service)」で、単一のプラットフォーム上でライブ ゲームを構築して運用できます。PlayFab には、ゲーム サービス、データ分析、ライブ運用ツールなど、ローンチまでの時間を短縮し、ゲームの寿命を延ばし、コストを削減するために必要なものがすべて揃っています。
主な機能 | 概要 |
---|---|
マルチプレイヤー サービス |
クロスネットワーク ID、マルチプレイヤー サーバー、アクセシビリティの高いパーティー チャットなど、お客様のライブ ゲームの発展に貢献します。 |
分析 | ライブ ゲームでのプレイヤーの動作について理解し、対応するためのリアルタイム データ分析です。 |
LiveOps | ゲームをサービスとして実行し、プレイヤーが戻ってくるようにするライブ操作。 |
「Azure PlayFab」はゲーム制作の様々な機能を搭載したバックエンドサービスです。「マルチプレイ」で役立つクロスネットワークやチャット機能、ログインしているプレイヤーの動向をチェックできる「分析」機能など搭載されており、これにより“開発コスト”などの大幅な削減が期待できます。
「PlayFab」は、2018年1月に Microsoft社に買収され、Microsoftのクラウドサービス「Azure」と連携し「Azure PlayFab」という名称で運用されています。
新作モンハンクロスプレイ実現とAzure PlayFab「Azure PlayFab」採用ゲームタイトル


「Azure PlayFab」を採用されている主なゲームタイトルおよびゲームメーカさんになります。
ゲームタイトルについては、「マイクラ」「HALO」「FORZA」などMicrosoftさんが発売元となるものが中心に紹介されていますが、採用されている他社メーカーさんですと「CAPCOM」さん「SEGA」さん「バンダイナムコ」さんなども事例として紹介されていました。
ソーシャルゲームですとBeta Computingさんの「競技かるた」などにも採用されています。
新作モンハンクロスプレイ実現とAzure PlayFab「Azure PlayFab」の主な機能

「Azure PlayFab」の主な機能 | |
---|---|
複数のプレイヤー認証 アカウント連携 Google/FaceBook/Steam/PSN iOS/Android…他 |
タイトルデータ管理 マスターデータ ゲームのコンフィグ管理 |
プレイヤーデータの管理 ユーザーデータの管理 キャラクターデータの管理 |
グループ機能 MMOであるパーティ ギルド機能の管理 |
フレンド機能 | ランキング機能 |
チャット機能 テキストチャット 音声チャット |
通貨の管理 ゲーム内で使える通貨 |
アイテムトレード機能 | ギフト機能 |
プッシュ通知機能 | メール機能 |
ニュース機能 | 分析機能 |
「AzurePlayFab」で提供している主な機能です。
オンラインゲームやソーシャルゲームをプレイされている方だとお馴染みの機能のほとんどが網羅されています。

「AzurePlayFab」のプレイヤー認証アドオンでは「Googleアカウント」などのサービス連携も可能で、SF6(オープンβ版)では、事前に「CAPCOM ID と PSN」アカウントを紐付、それと連携して遊ぶことができました。

オンラインゲーム・ソーシャルゲームなどでは、プレイヤー同士で“ランキングを競う”コンテンツが多いですが、そうしたユーザーのランキングレコード機能も備わっています。

SF6(オープンβ版)では、各国プレイヤーさん同士のランクマッチがあり、“連勝数”や“リーグポイント”などを誰でも参照できるようになっていました。名前部分を匿名にする機能もあるようです。

「AzurePlayFab」の「カタログ」では、ゲーム内で使用できる「通貨」や「アイテムショップ(ストア)」などの設定ができます。

SF6(オープンβ版)では、アバターショップでは「F(ファイトマネー)」や「ドライブチケット」といったゲーム内通貨・アイテムを使用して交換することができました。

その他、SF6(オープンβ版)のチャット機能では、定型文やスタンプなども使用できましたので、こうした機能も「Azure PlayFab」標準で盛り込まれている(or拡張機能)と思われます。
標準搭載のデザインを使うと全部似通ったものになるので、各ゲームタイトルに合わせて機能追加やデザインテーマを変えられているかと思いますが、必要な機能面の大半を「Azure PlayFab」側で補ってくれるので、制作時間の短縮にもつながり、コンテンツの拡充など別な部分にリソースを回すことができます(⑅•ᴗ•⑅)♪
しかも、カプコンさんの場合独自の「RE:エンジン」も持たれておりますので、こちらと連携すれば正に鬼に金棒ですね。
ただし便利な反面、スクラッチ制作(機能面の0ベース制作)と違い、機能拡張をする際に大元のコード(PlayFab標準提供部分)をいじると予期しないバグが起きるといった切り分けが大変なところもあったりもします。それもあって標準実装部分の機能を盛り込む場合、慎重に精査する必要がでてきます。
ハードメーカーである任天堂さんは『スイッチの機能を知り尽くしているのでゼルダをはじめとした高機能なゲームがリリースできる』などネットでも度々話題となりますが、それに通じるところがあるかもしれません。もちろん、こちらに関しては制作に携わるエンジニアやディベロッパーさんのスキルセットによるとこも大きいです。
あとは、SF6オープンβ版でも何度か接続エラーといったトラブルも起きていましたので、ローンチ後や大型アップデート時などアクセスが集中するタイミングに合わせ、どこまでの負荷を想定できるかといったノウハウやトラブルが発生した場合の“迅速な対応”といったネットワークエンジニアとしての経験知識も必要になってきます。
新作モンハンクロスプレイ実現とAzure PlayFab「Azure PlayFab」のLivOps機能

「AzurePlayFab」では、ログインしているユーザーさんの様々な情報を統計データとして閲覧することもできます。YoutuberさんとかですとAnalytics機能で視聴者さんの国や性別、年齢などパーソナルデータチェックされている方も多いかと思われますがそれのゲーム版といった感じです。
年齢・性別などパーソナライズに沿ったアプローチはもちろん、トラフィック監視もできるため、ゲームへの不正アクセスや改造を試みるユーザーのトレースもできるかと思われます。
トレース範囲がどこまで対応できるかは分かりませんが、もしモンハンで実装されたら改造装備やキャンパー問題(狩りをせずキャンプ待機するユーザーさん)も解消できるかもしれません。

LivOpsでは「A/Bテスト」機能なども搭載されていました。
「A/Bテスト」は「仮説検定」を指す俗称で、特定の要素を変更したAパターン、Bパターンを作成して、それをランダムにユーザーに表示し、それぞれの成果を比較することで、より高い成果パターンを得られるテスティング機能です。主にWebマーケティングで使われている手法です。
新作モンハンクロスプレイ実現とAzure PlayFab他社のクラウドサービスの連携
「Azure PlayFab」は、Azureという名前が付いているため、Microsoftさんのクラウドサービス「Azure」との親和性が高いのですが、アマゾンさんのクラウドサーバAWSとの連携もできるようです。
カプコンさんでは、AWSのゲーム向けデータベースをはじめいろいろな制作ノウハウを持たれておりますので、新作モンハンがどういうサービスを採用されているかはリリースされるまでは分かりませんが、クロスプレイも対応していくとありましたので、ストリートファイター6(オープンβ)でも導入されいていた「Azure PlayFab」あたりも視野に入ってくるのかなと予想しています(୨୧ ❛ᴗ❛)✧。
普通にゲームする分には裏側まで意識する必要はなくクロスプレイが解消されていればそれだけで嬉しいのですが、将来的にゲームプラットフォームを使った制作に携わってみたいという方は参考にしてみてください(,,ᴗ ᴗ,,)