モンハンライズ制作の現場の声をお届けする「モンハンライズ開発現場レポート」がついに最終回を迎えました。
最終回では、モンハンライズ(本編)とサンブレイクの根幹となる“物語のテーマ”や“NPCの名前”、“キャラクターボイスの導入”、“歌”といった部分について、シナリオ担当の山下さんが解説されていました。
今回はそんな最終回を迎えた「モンハンライズ開発現場レポート」を引用しつつ「カプコンさんの映像作品化の取り組み」などについて紹介したいと思います(୨୧ ❛ᴗ❛)✧
ライズとサンブレイクのテーマ
- 2大テーマ
- NPCの命名
ライズとサンブレイクのテーマ「継承」と「還るべき場所」
Q:ライズ・サンブレイクの物語における、それぞれのテーマや方針を教えて下さい。また、2つの作品に共通している要素などもあればそちらも教えて欲しいです。
A:ライズのテーマは「継承」です。
百竜夜行という災禍に立ち向かうカムラの里の面々には、50年前の災禍で憂き目を見た里長フゲンたちの世代、そして今回それに立ち向かう主人公「猛き炎」たちの現役世代、そして次代を担うヨモギやイオリといった子どもたちがいます。炎の如く力強く生きて、己の魂を次の世代に託す。託された者もまた、その炎を受け継ぎ心を燃やして、生き様と魂を次の世代に繋ぐため生きていく…。そういった精神こそが、カムラの里の結束や強さの根幹でもあります。
このテーマは、エンディング曲である「つなぐ花篝」の歌詞に集約されています。そしてこの「継承」というテーマは、イブシマキヒコとナルハタタヒメが巡り合い、子々孫々を残して天地の支配を目論むにも繋がりがあります。
彼らもまた、血を継ぐ子孫を残して、繁栄するために動いていた。そのことが、結果として百竜夜行を引き起こしてしまった。
どちらが明確に悪ということもありませんので、目線を変えれば非常にシビアな話ですが、モンスターハンターの物語の根っこは「人間とモンスターの生存競争」だと思っていますので、避けては通れない話だと思っています。
一方、サンブレイクでは、作中でも何度か口にされていた「還るべき場所」というのがテーマであり、キーワードになります。
カムラの里を救った主人公が「家族」たちに見送られ、次に向かう観測拠点エルガド。
巻き起こる異変によって、王国という「還るべき場所」を失わないために、フィオレーネたちエルガドの面々は必死で踏ん張っている。
彼らと出会い、「チーム」として共に困難を乗り越えていく中で、エルガドは主人公にとって「もうひとつの還るべき場所」となっていく―。
そういったお話になるよう心がけていました。さらに、ライズと同様「還るべき場所」というワードは、モンスター目線でもテーマとなっています。
王国の異変の元凶であり、人にもモンスターにも散々脅威を振りまいた噛生虫キュリア。
しかしながら、キュリアたちからすれば、「自分たちの還るべき場所はどこなのか」「自分たちは、いつ還ることができるのか」という不安があったことでしょう。 そんな不安をいだきながら彷徨い続けている、まるで母親を探す幼子のようなキュリア。彼らの生き方もまた、テーマを成す大きな要素でした。
そして極めつけ、「原初を刻むメル・ゼナ」。この「還るべき場所」をテーマとするサンブレイクの物語を締めくくるモンスターです。
キュリアを、自分の領の侵入者として排除するべく降り立った存在。この原初を刻むメル・ゼナに対して、王国を護るフィオレーネが下した決断は、まず、最大の脅威であるキュリアから「還るべき場所」―すなわち王国を護るためのものです。
インタビューでは、ライズ(本編)のテーマは「継承」、サンブレイクのテーマは「還るべき場所」として語られていました。
モンハンライズ登場のNPCには、フゲン・ハモンといった年輩キャラからヨモギ・イオリ・コミツといった若い世代など年齢幅の広いキャラ設定がされていたのは、こうしたテーマに基づいてのようです。
”百竜夜行の災禍”とは別軸になりますが、ヨモギちゃんとカゲロウさんの故郷を襲った悲劇においても、こうした“継承”描写があり、カゲロウさんも知らない間に逞しく成長したヨモギちゃんの姿がムービー内で描かれていました。
そして、王国の異変の元凶としてサンブレイクの厄介ものとして扱われた“キュリア”ですが、インタビューでは『キュリアたちからすれば「自分たちの還るべき場所はどこなのか」「自分たちは、いつ還ることができるのか」と不安をいだきながら彷徨い続けている、まるで母親を探す幼子のような…』と彼らなりの“本能行動”に基づいて行動していました。
原初のメル・ゼナ撃退後にフィオレーネが涙ながらに「キュリアを駆逐するシーン」では、キュリア側のこうした本能行動も理解した上での“どこかやるせない気持ち”もあったのかもしれません。
そして、最後にキュリアから解放されて元の“優しいメル・ゼナ”に戻ったこのシーンでは『王国に安寧の焔をもたらす騎士が・・・帰還した』というセリフがありました。
こちらについてもエルガドを救った“主人公(猛き炎)たち”と“キュリアに浸蝕される前の本来のメル・ゼナ”の双方に掛かっていそうな気がしています。
キュリア駆逐後すぐに飛び去っていましたが、浸蝕前の本来のメル・ゼナと交流するシーンなどは「モンハンストーリーズ3」などで描かれたら良いですね(✿❛◡❛)
ライズとサンブレイクのテーマ全NPCに名前を付ける
Q:モンスターハンターシリーズの新作という事で特に意識したことはありますか。
(新作という事で新たに入れた要素や逆に省いた要素、シリーズとして踏襲した要素など)A:意識といいますか、最初にチャレンジしたことは、「すべてのキャラクターに名前を付ける」でした。 ハンティングアクションとしてのモンスターハンターシリーズでは、従来、キャラクターは肩書きで呼ばれていました(一応、設定として名前はありましたが)。
ですが、ライズが「百竜夜行という災禍に立ち向かう里の物語」となったときに、皆が手を取り合って、家族のようにして支え合っているのだろうな―と思いを巡らせました。
そうなったときに、もう役職のみでは呼べないと考え、ディレクターと相談を重ねて役職+名前でいく形になりました。 それと同時に、主人公を今までスタンダードだった「外から来たハンター」ではなく「災禍に襲われる里の出身」という設定にしました。理由は、各キャラクターに名前を付けたのと一緒です。里の皆は災禍を共に迎え撃ち、一心同体で支え合う家族ですので、そちらの方がよいと判断しました。また、「新作だから」というわけではありませんが、物語を書く上で意識したこととして、「光と影」を許される限りきちんと描くことようにしました。 つまりは、主人公が危機を乗り越えて英雄となっていく中で、「失敗した者」だったり「脅威に打ち克てなかった者」「護られなかったもの」―そういったもののお話です。
主人公は倒れれば終わりですから、最終的に必ず危機を乗り越え、人々を救って英雄として讃えられる存在となります。 ですが、そういった「光」がある一方で、必ず「影」があったはず。それをきっちり描ければ、モンスターハンターの世界、つまり過酷な生存競争の世界の物語は深みを増すのではないかと…。
あくまでこれは、個人の考えですが―(もちろんリアルに書きすぎれば、これまで培われてきたモンハンの世界観を壊してしまいますので、前述のとおり「許される限り」に留めましたが)。ライズで言えば、まず五十年前に里が壊滅寸前まで追い込まれたのは、マガイマガドの乱入というアクシデントがあったとはいえ、当時最前線に立っていた里長フゲンたちの作戦ミスも要因としては決して小さなものではありません。
その他も、集会所にいる上位ハンター・アヤメのお話、ヨモギとカゲロウの故郷を襲った悲劇。そしてサンブレイクにおける、騎士道精神の最たる美徳は自己犠牲にある―という考えから脱却できないフィオレーネの失敗、提督ガレアスの故郷の滅亡など。
いずれも、主人公が英雄の道を進んでいくまでに存在した「影」です。
これらを描けたことは、物語の深化に繋がったと思っています。そして、「主人公に喋らせる」という要素。
最初のPVで主人公が言葉を発したときに驚きの声が出たのをよく覚えています。
デフォルトで20人。そして追加で20人以上。…とにかく言葉のバリエーションを絞り出すのに必死だったのを覚えています。
とはいえ、里や拠点のキャラクターのボイスは物語では出せない一面も出せたりしますので、結構ノリノリで書いていましたね。特にウツシ教官、バハリ、ジェイあたりはキャラクターから逸脱しない範囲で伸び伸びと書かせてもらいました。
ウツシ教官に関しては、考えられないくらい長尺のセリフをダメ元で出したりしたんですが、採用されましたね。最後に、歌。
特にライズでは歌が重要な要素として存在しています。ちなみにゲーム中ではモンハン語が使われているものも、元は日本語で歌詞をつくっています。きちんと設定に沿った歌詞になっており、より深く世界観を知ることができるものになっていますので、是非ともサウンドトラックなどで聞いていただきたいと思います。
インタビューにもありますように今作では“すべてのNPC”に名前が付けられました。
フゲン、ゴコク、ウツシ、ヒノエ、ミノトなど主要キャラだけでなく、シラタマ、キナコなどシナリオにそこまで絡まないキャラ迄分け隔てなく付けられていました。RPGでも街などの個々NPCに名前が付けられている作品は少ないですね。キャラ名を考える打ち合わせとか絶対楽しそうですね(*´︶`*)
次回作が“肩書き”主体に戻るのか、“名前呼び”になるのかは分かりませんが、名前が付いている方が個々の愛着や親しみが湧くので同じ方向で進んで欲しいなとも思っています(⑅•ᴗ•⑅)♪
「光」と「影」の部分についても、Version15.00のアマツマガツチやVersion16.00の原初を刻むメル・ゼナ討伐後のムービーにあるよう、悲しい過去を打破できたからこそ見せれる感動演出にも繋がっていたため、ここも好印象でした!
ボイス部分についてもキャラに個性が生まれたのはもちろん、敵が大技を仕掛ける際に「何かがくるぞ!!?」みたいに事前にボイス察知ができたので、アクションが苦手な方への配慮にも繋がった方かと思います。
ただ1点だけ、有料DLCのキャラボイスの中で狩猟開始時に「ヨモギ参上~!」みたいにキャラの固有名を叫ぶ演出は省いても良かったのかなと思っています。宣伝にはなりますが、飽くまでボイス設定して操作するキャラは主人公(ハンター)のため。
歌に関してはEDだけでなく、イブシマキヒコ戦「禍群の息吹」のように、“狩猟中に流れる歌の演出”は盛り上がるので良かったです!
- 2大テーマ
- NPCの命名
ライズとサンブレイクのテーマCAPCOM映像作品の取り組み
映画モンスターハンター
レジェンド・オブ・ザ・ギルド
バイオハザード -デスアイランド-
――カプコンはゲームだけでなく、IPの映像化も積極的に推進されています。このようなワンコンテンツ・マルチユース展開の今後の方針であったり、さらに広げていきたい領域などありましたらお聞かせください。
辻本社長:
2022年に映像会社“カプコンピクチャーズ”を設立しました。今後は映像作品への展開にもいっそう注力していきたく考えています。
よく「なぜゲームだけでなく、映像事業にまで手を出すのか?」と聞かれるのですが、当社のIPがヒットし続けている理由としては、前述の展開に加え、同じIPが題材の映像作品を定期的に制作していることも大きく影響しているんです。――具体的にいいますと?
辻本社長:
ゲームはしないけど、『バイオハザード』や『モンスターハンター』といったタイトルは知っている……という方は大勢いらっしゃいます。まずはそういった方たちに、映像作品で当社IPに触れていただき、そこからゲームにも興味を持っていただいて、「試しに1本、買ってみようか」という流れに持っていく。
こうやって徐々にIPそのもののファンを増やしていくことが、映像制作に積極的に取り組んでいる理由になります。
上記インタビュー内容にもありますように、カプコンさんではバイオハザードやモンスターハンターなどの映像化にも力を入れています。
特にバイオハザードの映像作品は実写映画~CG映画など多数制作されていて、一番新しい作品として2023年7月7日に「バイオハザード~デスアイランド~」が公開されました。
公開初日に映画館へ脚を運びましたが実写よりも今回のようなCG作品の方が好みです。
映像化作品としてはモンハン・バイオ以外にも「ストリートファイター」「デビルメイクライ」「ドラゴンズドグマ」の他、「逆転裁判」「戦国BASARA」「モンハンストーリーズ-RIDE ON-」など映画や指定プラットフォームの独占配信、長期アニメ化した作品など多数あります。
映像作品ではないですが、過去にはモンハンの漫画展開もされています。
モンハンストーリーズはアニメを見るとゲーム内でオトモンの卵が貰えるといった連動コンテンツにもなっていました。
こうしたゲームとアニメのメディアミックスの流れは、LEVEL5さんの「妖怪ウォッチ」や「イナズマイレブン」など各ゲームメーカーさんの間で流行った時期がありました。
そして、ゲームとアニメのメディアミックスの長寿作というと「ポケットモンスター」ですね!
今年、登場キャラなど新規一転となりましたが、昨年発売の最新作「スカーレット・バイオレット」の御三家やナンジャモちゃんが登場するなど、新作タイトルと素早く連動させたプロモーションが話題となっていました(⑅•ᴗ•⑅)♪
ライズとサンブレイクのテーマライズの映像作品化に期待(希望)
そんな、ゲームとのメディアミックスですが今回紹介した「モンハンライズ(サンブレイク)」も、アニメやフルCGで映像作品化して欲しいところがあります。
できれば、実写映画よりNetflix独占配信の時のような“フルCG作品”希望です(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)
今作は、開発者インタビューにあるよう“NPCに名称”を付けるといったキャラへの重み付(親しみ)なども生まれましたので「継承(百竜夜行の災禍)」「還るべき場所(王国騎士の物語)」という2作を映像作品として見れたら最高です(*◕ᴗ◕*)♪:*°
「ライズ本編」と「サンブレイク」を1本に収めると尺的に厳しそうなので2部作以上から展開してくれたら良いですね
もし映像化されるなら、カゲロウさんのところ以外の本編で語られなかった「アナザーストーリー」も回想シーンなどで上手く再現されたら嬉しいです。
物語のフィナーレは、本編同様に“原初のメル・ゼナが飛び立つシーンで締めるとして、ここでサラ・オレインさんの「SUNBREAK」が流れるものなら涙腺がやばそう…(৹˃ᗝ˂৹)
今作は「光と影」や全NPCに名前を設定するなどストーリー部分にもかなり力を入れられていたので、“この感動作品を映像化して、モンハン未プレイの多くの方に視て欲しいなぁ”と個人的に思っています。
長くなりましたが、今回は「モンハンライズ開発現場レポート」と「カプコンさんの映像作品の取り組み」について紹介させていただきました(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)
(↓):開発者インタビュー引用元はこちら
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